
LINEは単なるメッセージングアプリではなく、決済機能(LINE Pay)、ショッピング、ニュース配信、動画プラットフォームなど、多角的なサービスを展開しています。
企業にとっては、公式アカウントを通じた顧客エンゲージメントや広告配信の場として活用可能です。
そんなLINEの中で、動画コンテンツを中心とした配信プラットフォームであるLINE VOOMは、短形式動画のトレンドを捉えており、クリエイターや企業のプロモーションに欠かせない存在です。
2025年に入り、LINE VOOMに大きなアップデートが相次いでおり、これがマーケティング戦略に与える影響は無視できません。本記事では、LINEの概況から始め、直近のLINE VOOMアップデートを詳しく解説し、マーケティング活用の観点からまとめます。

①LINE VOOMの概要:短形式動画のマーケティングフィールド
LINE VOOMは、2021年に旧LINE Timelineからリニューアルされた動画共有機能で、TikTokやInstagram Reelsに似たプラットフォームです。動画だけではなく、静止画でも投稿できる点がポイントです。
ユーザーは最大3分の動画を投稿でき、フォロー中タブとおすすめタブでコンテンツを閲覧できます。国内ユーザー9,500万人以上にリーチ可能で、アルゴリズムが視聴履歴に基づいて推薦するため、バイラル効果が高いのが特徴です。
クリエイター向けにはLINE VOOM Creator Program(LVCP)が用意され、再生時間に応じた収益化が可能です。
2025年現在、クリエイター数は数百万規模で、インフルエンサーマーケティングの場として活用されています。企業視点では、公式アカウントと連携した動画投稿が有効です。
たとえば、商品デモ動画やユーザー生成コンテンツ(UGC)を活用し、ブランド認知を拡大できます。投稿タイプは動画中心ですが、画像・テキストも可能で、ハッシュタグやテーマ機能で検索性を高めています。
マーケティングの活用例として、インストリーム広告(動画内に挿入される広告)が挙げられ、冒頭10秒で興味を引く構成がクリック率を向上させます。
また、フォロワー獲得のためのキャンペーン(例:限定クーポン付き動画)で、ファンコミュニティを構築可能です。しかし、2025年のアップデートにより、VOOMの位置づけが変わりつつあり、戦略の見直しが急務となっています。
②直近のLINE VOOMアップデート:2025年9月のリニューアルを中心に
2025年に入り、LINE VOOMには複数のアップデートが実施され、ユーザー体験とクリエイターの運用が大きく変わりました。最大の変更点は、9月16日から順次開始されたLINEアプリ全体のリニューアルです。
これにより、アプリ下部の「VOOM」タブが削除され、新たに「ショッピング」タブが追加。VOOMは「ホーム」タブ内の「サービス」セクションからアクセスする形に変わります。この変更は、一部のアカウントから実施され、年末までに全ユーザー完了予定となっています。
引用元:https://notice.line.me/line/ios/document/notice?documentId=100018000&lang=ja
VOOMのカメラ機能、テーマ機能、ハッシュタグ検索機能が廃止され、動画投稿・視聴は継続可能ですが、利便性が低下する可能性があります。マーケティング影響として、VOOMの露出減少が懸念され、ユーザーの流入経路が変わるため、公式アカウントからの誘導を強化する必要があります。
他のアップデートにも注目が必要です。
まず、テーマ機能の強化です。注目動画&テーマ一覧ページが追加され、投稿に適切なハッシュタグを付けることでインプレッションが増加します。
クリエイターはテーマバーに表示されやすくなり、フォロワー獲得のチャンスが拡大します。ただし、無関係なハッシュタグは非表示リスクがあるといわれているため、精査が必要です。
次に、1分以上の動画投稿の容易化です。従来は編集が必要でしたが、3分未満の動画を直接投稿可能になりました。容量上限は1,500MBで、アルゴリズムが「動画」投稿を優遇するため、おすすめ表示率が向上します。LVCP収益も再生時間ベースで増加の見込みです。このアップデートは、YouTubeやTikTokからのクロスポストを効率化し、マーケティングで長めの商品説明動画を活用しやすくなりました。
さらに、8月13日のアップデートで、フォロー中タブの動画・画像比率が1:1から0.9:1に変更。縦型動画の中心部を強調し、冒頭の視覚インパクトを高める工夫が推奨されます。これにより、スクロール時の停留率が向上し、マーケティング動画のエンゲージメントが増す可能性があります。
一方、アプリバージョン13.20.0以下のサポート終了(11月上旬予定)も関連し、古いOSユーザーはアップデートが必須となります。全体として、これらの変更はVOOMを「動画消費の補助機能」へシフトさせ、ショッピング統合を優先する戦略を示しています。
③マーケティングへの影響と活用戦略
これらのアップデートは、LINE VOOMのマーケティング価値を再定義するものとなります。
タブ削除により、VOOMの自然流入が減るため、企業は公式アカウントのタイムラインやメッセージからVOOM動画への導線を強化する必要があります。
たとえば、プッシュ通知で「新動画公開!」と告知し、クリック促進をすることや、リッチメニュー内にVOOMへの導線を設けるなどが考えられます。
また、テーマ機能廃止の影響で、ハッシュタグ戦略は簡素化されますが、代わりにアルゴリズム優遇の動画投稿を活用する必要があります。
1分以上の動画で詳細なブランドストーリーを語り、視聴時間を伸ばせば収益化だけでなく、コンバージョンも向上します。比率変更は、動画制作のポイント:中心部にロゴやキャッチコピーを配置し、モバイル最適化を推奨します。
LINEコマースとの統合で、動画視聴から即購入の流れを作ることも可能です。リスクとして、機能縮小でユーザー離脱の可能性があるため、インプレッション数等を分析しながら、最適な露出場所を検討する必要があります。
④まとめ
LINE VOOMの直近アップデートは、プラットフォームとしての変化が見られ、柔軟性が求められる内容となっています。概況から見るLINEの強固な基盤を活かし、VOOMを動画マーケティングの補完ツールとして位置づけましょう。
また、以前との数値を比較・検証していきながら、活用方法の最適化を行っていく必要があります。
弊社では、企画・運用・分析までワンストップでご提供しております。
「LINEを使った集客・販促・顧客管理に興味がある」「本腰を入れてLINEの運用を行っていきたいが社内リソースが足りない」「運用を行っているもののなかなか成果が出ない」という際には、ぜひお気軽にご相談ください。